2018年はヤマダショックに楽天ビック、夏の酷暑にAmazonのアルゴの変更、最後に年末のPayPay祭り。
日本の家電メーカー・卸・販売店にとってはジェットコースターのような年だったのではないでしょうか。
私がこの2018年、家電をウォッチしていて最も強く感じたのは「消費者が買うものを自ら選ばなくなる」という購買行動の変化がより顕著になったことです。
※2018年 冷蔵庫はノジマで買いました
家電を選ばなくなった人はどこへいったのか
価格.comが出来て以降、家電の価値は消費者が決めるようになりました。
そして「何を」「どこで」「いくらで」買うかを吟味して買うことが一般的でした。
どの掃除機にするかスペックを比較し、どの店で買うのが安いのかを探しました。
2018年はauと資本提携した価格.comですが、2018年9月度発表の月間平均PVと2013年9月度のPVを比べると、なんと2億5,000万PVをも減少しています。
この2億5,000万PV分の家電(もちろんカメラやPCも)を探していた人たちはどこに行ったのでしょうか。
家電の年間市場規模は約7兆円です。
その内、ネット通販で買われるEC化率は出典元によって大きく異なるのですが、経産省による2016年調べのデータでは家電のEC化率は約30%で約2兆円くらい。
実店舗POSを集計しているGfK調べデータだと家電のネット比率は12%程度で8,400億円
他のデータだと1.4兆円というのも見かけましたが、今回はGfKを参照値として8,400億円だとして
さて、家電のネット通販の2017年の売上高上位を見回すと
ヨドバシが1,100億円(非家電が多いと聞いています)
Joshinが570億円(おもちゃが多そう)
ジャパネットが538億円(非家電がたくさん混ざってそう)
ビック・ノジマ・コジマ・キタムラとMOA・ストリームあたりを足して2,100億円くらい。
アベルネット(PCボンバー)が見えなくなったくらいで、昔から顔ぶれはあまり変わっていないですね。
上位に名を連ねないヤマダ電機やエディオン・ケーズとムラウチとかその他もろもろ足して700億円くらいでしょうか。
乱暴に全部合わせて約5,000億円くらいと仮定します。
8,400億円にまったく届きません。
この残り、全部Amazonだと思うんですよ。
Amazonの売上高1兆3360億円の内、日本は家電の構成比が高いと思っていて(米国は7%程度)25%だと仮定すると3,400億円。
ヨドバシ、ビックの実店舗含めの売上高がそれぞれ6,000億円~ですがから、なんとなくしっくり来ませんか?
※2018年掃除機はヨドバシで買いました
Amazonで家電は選ばされている
2016年には200~300万人程度だったAmazonプライム会員は今や推定800万人以上とみられています。
Amazonの顧客の囲い込みは尋常ではないスピードで進んでいるのです。
Amazonでの購買行動を振り返ってみると
Amazonというのはレコメンドの店ですから、商品を比較したりウィンドウショッピングするのには適していない作りです。
多くの人は、Amazonでランキングの高い商品を観て、レビューを読んで、大丈夫そうだなと思ったらカートに入れる、そんな買い方ではないでしょうか。
そう、多くの場合、自分で選んでいないのです。
Amazonに選ばされているのです。
家電メーカーによっては「Amazon離れ」をすでにしているメーカーも多く、Amazonに好意的なメーカーの商品やAmazon対策で生産している型落ち製品ばかりがレコメンドされて強制的に選ばされています。
※そういったAmazonが取り扱えない商品をAmazonのマーケットプレイスに出店している家電量販店が補完しているというのも皮肉ですね。
自ら情報を調べて、お店に足を運んで、そういった手間がAmazonでは一切かからなくなってきて、それは買い物がアップデートされたと言われればそれまでですが、他人(あるいはAIかも)の意思でしか買い物ができなくなっていくとしたら、それは心情的に寂しくないでしょうか。
※2018年 電気ケトルはタイガー魔法瓶直販サイトで買いました
メーカー・販売店はもっと良さを語れ
私は大きな主語で「だから日本の家電はダメなんだ」みたいなことを言う人が大っ嫌いです。
2018年過労死で問題になった三菱電機も、粉飾を続けた東芝も、経営者が悪いけど、みんな前より良いものを作ろうと働いてきたはずです。
時代は信用経済。
何を売るから、誰が売るの時代になりました。
YouTuberやらインフルエンサーの声が大きくなってきて、「あの人が良いと言っているから」がキーワードになってきました。
このブログを含め、多くの商品紹介先にはAmazonが使われます。
本当に良い家電を作ったのであれば、それが良い家電だということをもっと人に伝える手段を自らが考え実行すべきではないでしょうか。
メーカーの開発者が実名顔出しでTwitterやって、自分の思いを伝えてみてはどうでしょうか。
量販店の店員さんは間違いなくYouTuberより家電に詳しいです。
あなた方が熱心に、ジャパネットばりに商品紹介してみてはどうでしょうか。
すぐには成果は出ないかもしれないけれども、きっと「人」から買いたいという動きは出てくると思います。
2018年にアメトーーク!で爆発的なヒットをしたソニーのウェアラブルスピーカーを思い出してください。
たくさん良い家電があります。
Amazonに行ってしまって、自ら家電を選ばなくなってしまった人たちへ
もう一度、自分で家電を選ぶ楽しみを思い出して欲しいのです。
私はメーカーでもないし、SNSで実名顔出しもしないし、ブログにAmazonの商品リンクも貼ってしまうけど、
あなたの生活が豊かになる家電選びのお手伝いができるように、このブログをほそぼそと書いていきたいなと決意する2019年最初の記事でした。
どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
↓家電の購入相談あればマシュマロ投げてください
PayPayでうまく家電買えなかった方も多いと思うので、家電の購入相談受けることにしました
— GAJUMARU(GAN) (@GAJUMARU10) 2018年12月14日
匿名のメッセージを受け付けています!
https://t.co/8HtHyxXxl1 #マシュマロを投げ合おう
今週のお題「2019年の抱負」
↓そしてなんだかんだでリンク貼っちゃう
<参考・出典サイト>
アマゾンに公取委立ち入りで、家電の現場からも「負担」の声 - BCN+R
アマゾン日本事業の売上高は約1.3兆円【Amazonの2017年実績・施策まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース
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