洗濯家として活躍している洗濯王子こと中村祐一さんをご存知でしょうか。
洗濯の方法やアイロンのかけ方など彼から得た知見は非常に多く、『今でしょ講座』に出演された時の林修先生とのやり取りはまさに神回だった記憶があります。
中村氏は今年こだわりが詰まった「センタクアトリエ」をオープンさせたとのこと。
機会があれば私もお邪魔してみたいと思わせる魅力が溢れております。
洗濯王子による、洗濯するための家。「センタクアトリエ」のこだわりがハンパない - 価格.comマガジン
そんなセンタクアトリエに設置する「冷蔵庫」を選んだ際の中村氏のツイッターを観ていて驚きました。
6月に冷蔵庫買ったのですが、日本のメーカーの作る冷蔵庫って置きたくなる冷蔵庫が無くてスゲー困りました。
— 洗濯家 中村祐一 (@sentaku_u1) 2018年8月6日
シンプルだし、もう無印のでいいやーとか思ったんですが、左開きがなくて断念。
冷蔵庫選んでる時思ったんですが、これ洗濯機と同じだなと。
— 洗濯家 中村祐一 (@sentaku_u1) 2018年8月6日
・本質からズレて、余計な機能が付きすぎる。
・どれも絶妙にダサを醸し出してくる(笑)
中村氏は「センタクアトリエ内で、自分の感性においてインテリアデザインと調和する冷蔵庫がなかった」という意味でつぶやかれていたのだと好意的な解釈を無理やりしたのですが、リプ欄を観てみると
「日本の家電はコレだからダメだ」という意味合いでつぶやかれているようなのです。
どう感じようが個人の勝手ですけど、数々のこだわりで如何に洗濯をしていくのかを突き詰めている中村氏ですが、洗濯機と同じようにして進化している冷蔵庫に対して「見た目」だけで駄作の烙印を押しているのを非常に残念に思いました。
今回は日本の冷蔵庫のデザインは悪くないし、無駄な機能ばかりがついているわけではないという持論を書いていきます。
日本の冷蔵庫のデザインは悪くないし、無駄な機能ばかりがついているわけではない
「日本の家電は余計な機能をつけた新製品がでる」は様々な場所できく話。
LGスタイラーやランドロイドみたいに全く新しいタイプの家電が出た場合は、新製品になるたびに改良されていくわけですが、冷蔵庫や洗濯機のように成熟した家電はそうはいきません。
「日本の家電が悪い」のではなく「日本の家電はメーカー・仕入先の営業担当と量販店のバイヤーが悪い」のではないかと私は考えています。
量販店やAmazonの値下げバイアスにかかってしまうせいで、新製品を出して価格をリセットしなければいけなくなっている状況だからです。
こんな環境の中で開発者たちは今より良いものをと必死に作り上げ、新製品として送り出しているのです。
中には進化しない新製品もありますが、もっと使いやすく良いものをとものづくりをしている相手に対してデザインが悪いだ余計な機能だとよく言えたもんだなと思います。
デザインは見た目の意匠のことではありません。
これは中村氏もわかっているはずですが、どうも見た目のことしか頭にないようです
日本の冷蔵庫のデザインがいかに優れているか例を挙げます。
三菱電機 「動くん棚」
冷蔵庫の棚に食品を載せたまま棚ごと上下にできる機能です。
これは日本人女性の平均身長で冷蔵庫の最上段の奥のものに手が届かないという調査結果から、奥まで手が届くようにとデザインされています。
冷蔵庫の奥でカピカピに乾燥した姿で発見され廃棄される食品を減らすためにデザインされています。
シャープ「つけかえどっちもドア」
140リットル・170リットルのいわゆるシングル向け冷蔵庫で大きなシェアを持っているシャープの冷蔵庫の特徴的なデザインです。
「つけかえどっちもドア」によって「右開き」と「左開き」が自分で変更ができます
これは転勤族の暮らしに最適化されたデザインです。
シャープには他にも「どっちもドア」で左右どちらからも開ける冷蔵庫もあります。
日立「クリスタルミラーガラス」と東芝の「タッチオープン」
最近は冷蔵庫売り場でよく見かける全面がガラスになっているタイプのデザイン。
これが大きく拡がったのは日立がきっかけだったと記憶しています。
鏡面仕上げされた冷蔵庫を始めてみた時は驚きましたが、いつの間にかスタンダードになりました。
表面が強化ガラスになったことで重量が増えたりマグネットがつかなくなったりということもあるのですが、ガラストップの冷蔵庫は全面の掃除がしやすいメリットがあります。
食材に触った手で開閉することの多い冷蔵庫ですから、清掃しやすいようにデザインされています。
東芝の「タッチオープン」は肘などで触るとセンサーが反応して扉が開閉する機能です。
両手がふさがっているとき、料理中に手が汚れているときも簡単に扉を開けられるようにデザインされています。
洗濯王子がセンタクアトリエに設置した冷蔵庫はAQUAのAQR-SV42Gかと思いますが、扉から取っ手が大きく飛び出しています。
床から高さ100cm程度の場所にありますが、元気に走り回るお子さんがいる場合など顔面にぶつかるデザインになっていないかなと不安になります。(※無印もそうですね)
東芝「マジック大容量」
東芝のGR-M470GWという冷蔵庫であれば、ほぼ同寸法でAQR-SV42Gよりも50リットル分多くの食材を中に入れられます。
これは進化し薄くても効果の高い断熱材を使用し庫内を広く取れるようにデザインされているからです。
日本の狭い住宅事情を考慮してのデザインだと思っています。
このように例を挙げたらきりがありませんが、日本の冷蔵庫のデザインは悪くないし、無駄な機能ばかりがついているわけではありません。
もっともこれらの各メーカーのデザインがセンタクアトリエに必要なデザインではなかったのかもしれませんけどね。(個人的には冷蔵庫への動線はあの位置ではなくシンクの背面が良いと思いますけど)
冷蔵庫をはじめ、多くの家電は使いこなすことで生活が豊かになるように進化を続けています。
デザイン・機能を使ってもいないのに頭ごなしに否定して、シンプルな機能などと言い自分が今持っている情報・価値観だけで思考停止する…
家電は進化しても人間の頭が進化しないのであれば意味がないのです。
見た目のデザインも重要な要素の一つであることは否定しませんが、願わくば「見た目」だけでなく「内面」も見られる人間でありたいです。
とはいえ、洗濯王子の活動そのものは変わらず応援していますので、もっと楽しく簡単に洗濯ができる環境づくりに邁進して欲しいなと思っています。
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