冬らしい灰色の雲とビル風で前髪の形が変わる昼下がり、メディアアーティストの落合陽一さんの写真展を観に天王洲アイルへ行ってきました。
InstagramやTwitterで普段見かける彼の写真ですが、最先端のテクノロジーを創っていく人なのにわざわざ不自由なマニュアルカメラを使って、わざわざ解像度の劣る紙焼きにして写真展をするというのが興味深いですよね。
落合陽一さんの写真というと、2段くらいアンダーで撮られた鈍色のイメージ。
より深く沈み込んだ黒に見える色の重なりに侘び寂びが残る。
普段はiPhoneの画面越しに見ているので黒が黒として観えていましたが、マット紙に焼かれた黒は少しアナーキーなザラつきを感じました。
写真には撮った瞬間に過去になる特性があり、どうしてもノスタルジックな過去性を帯びてしまうからこれをどうにか消していこうという作業を写真家はするのですが、落合陽一さんの写真はそのノスタルジーを否定せずに受け止めているように感じます。
写真はしばしば「切り取る」という表現をされますが、彼の写真は「落とし物を拾っている」ようです。
「質量への憧憬」より「都市」
このシリーズが以前から好きです。
落合陽一さんの写真、垂直なものが写り込んでいることが多い気がしています。
まるで都市の墓標みたいです。
また写真だけでなくインスタレーション作品も。
8Kへアップデートされる解像度。
岡本太郎の生命の樹のオマージュでしょうか。
会場のIMA cafeではオリジナルのコーヒーもいただけます。
このコーヒーが面白くて、展示されている写真の黒の味がして、
一緒に行った同居人に「落合さんの黒の味がするね」と言ったら「ホントにするね」と。
プリントの販売もあったので、2枚買って帰りました。
現代の魔術師が創った空間には普段写真展にあまり足を運ばないような人たちも大勢かけつけていました。
彼の多作性と感性に触れられる素晴らしい機会、2月6日までですから、まだ行っていない方は是非。
メディアアーティスト・落合陽一の世界
「質量への憧憬 〜前計算機自然のパースペクティブ〜」
会期:2019年1月24日~2月6日
会場:amana square(session hall/IMA gallery/IMA cafe)
デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂
- 作者: 落合陽一
- 出版社/メーカー: PLANETS/第二次惑星開発委員会
- 発売日: 2018/06/15
- メディア: 単行本
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