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家電は今、空前の買い替え時!「ヤマダ電機効果」を考える

今朝ほどシノドスにあがっていた記事がなかなかおもしろかったので、コレは家電ブログとして言及せねばと立ち上がりました

synodos.jp

家電ウォッチャーな私としては、この7月は非常に面白い1ヶ月でありました

家電のカテゴリによっては底値ではない時期にも関わらず、かなり安く家電を購入できる7月でした

ネット家電はどこで売れているのか

家電商品はEC化率が30.2%と高く、想定されている売上高は1.5兆円

ネット通販が大きくなるに従い、アマゾンの存在感が増しているので

アマゾンの価格戦略により値段が下がる「アマゾン効果」のせいで物価があがらないのでは?という疑問に対し記事はこのようにあります(長いですが引用させていただきます)

家電製品の価格低下がネット通販の拡大が生じた時点になってはじめて観察されるようになった出来事ではなく、実店舗による販売がほとんどだった頃に、むしろ大幅な価格下落が生じていたということだ。

 

このような価格低下には、性能の向上によって実質的な価格低下が生じたことによる部分(品質調整に伴う下落分)と、販売店間の値引き競争の進展によって生じた部分の双方があるものとみられる。後者についていえば、ネット通販が主流になる前から家電量販店による競争は熾烈であり、そうしたなかで、いわば「ヤマダ電機効果」とでもいうべきものによって、家電の販売価格の上昇が抑制されてきたということになる。

 (中略)

家電製品の価格の動向には、アマゾン効果として認識されるような影響をもたらす価格競争が、実店舗どうしの間でも以前から展開されてきたこと、価格下落は最近時点よりもむしろ以前のほうが顕著であったことを踏まえると、最近時点における物価の動向を把握するうえでネット通販の影響をどの程度大きなものととらえるかについては、過大評価が生じないよう慎重な見極めが必要ということになる。

 

Amazonが悪いんじゃなくて、量販店の値引き合戦の方がひどかったんだぜ!という話なんですが、

こと家電業界に至っては「エコポイント」「アナログ停波」という政府の手による「狂乱と残された廃墟」みたいな価格ジェットコースターを経験しているのであんまり当てにならないのではないかと読み取っています

 

家電業界全体で観ると、エアコンはずっと伸び続け、この猛暑で今年は900万台を超える観測

クリーナーみたいにロボットやふとん掃除機、スティッククリーナーの隆盛と伸びているものもあり、凹んでいるのはテレビやレコーダーくらい

炊飯器などの家電は総需要・市場規模自体がそこまで変わらないといった状況なのですが

大手家電量販店は2007年のピーク時と比べて15%ほどシェアを落としているそうです

(※2018年6月15日 日経新聞より)

そのせいで大手量販店はリフォームやったり布団売ったり携帯電話販売会社を買収したりして収益の柱を増やそうとしているわけですね

 

さぁ、この家電量販店が失った15%のシェアはどこに行ったのでしょうか

 

2017年の家電市場規模が約7兆700億円くらいで

家電のEC化率が30.2% → 2兆1,351万円くらいですね

 

家電量販のネット通販No.1のヨドバシカメラのネット通販売上高が1,080億円(2017年度)ヨドバシ.comは非家電の売上構成比の方が高いらしいですから多めに見積もっても家電は500億円くらいでしょうか

ネット2位がJoshinで550億円 Joshinはゲームやプラレールなんかの売上構成比が高いので、家電はどのくらいですかね

それから3位のカメラのキタムラはカメラが主なので家電は少なめ

4位にビックカメラ、5位にA-priceなどのMOAが続きます

10位のコジマが100億円くらいで、ジャパネット足してもどうやら家電で1兆円はどう考えてもいかないわけで、有象無象のショップがたくさんあるとしてもおいおいAmazonどれだけ売ってるんだみたいな想像が激しく働いてしまいます

Amazonすごい

アマゾン効果は家電市場を変えた

この2年間のAmazonのPrime会員の囲い込みは想像を絶するものでした

自動販売機から脱したAmazonは巨大な経済圏を獲得し、それは楽天市場やヤフーショッピングとは圧倒的な差を持っています

 

そうして膨大の顧客を抱えたAmazonが牙を剥き始めました

 

Amazonは価格攻勢に出始めます

ベンチマークするショップ、マーチャントの売価を自動追尾するようになりました

すでに是正はされましたが、マーケットプレイスの価格をAmazon本体が更新するようになりました

 

そして自身の利益を確保するために、販売価格でも利益が出るように仕入先に対して要求したのだろうと考えます

みなさん気がついているかはわかりませんが、よーく見るとAmazonリテール本体が扱っていない商品や扱っていないメーカーの商品ってあるんですよ(これを調べるのも面白い)

これらのメーカーはAmazonの体質に異を唱えて離れていったのではないかと想像しています

 

膨大なAmazon市場を使って薄利多売するのか、それとも利益とブランドを守っていくのかメーカーはその選択が迫られたのではないでしょうか

先日過去最高の売上を記録したPrimeDayですが、家電ジャンルだと特定のメーカーの商品しか並んでいませんでしたよね

PrimeDayに登場した家電メーカーは前者なのではないのかなと思います

 

5年前くらいまでは家電といえば価格.comで価格とクチコミ情報を収集して購入するというのが一般的なネット通販での購入方法だったのが、価格.com提供のトレンドサーチを見るに、年々価格.comの影響力は低下しています

アパレルの同質化と同様に、もう自分で調べるのがめんどくさいんですね

Amazonで買えば良いやの思考停止です

 

そう家電のネット通販はAmazonか否かの世界になっているのです

これをアマゾン効果と言わずしてなんと言うのでしょうか

シノドスの記事は間違ってはいないとは思いますが、Amazonの影響を軽視しすぎでっはないかと考えています

 

2018年7月のヤマダ電機効果

さぁ、そしてこの7月は家電市場にとって大変おもしろい(傍から見ていると)がありました

PrimeDayではありません

 

ヤマダ電機の楽天市場出店です

 

5月の楽天とビックカメラからなる楽天Bicもインパクトがありましたが、とうとう家電量販売上No.1のヤマダ電機が楽天市場にもやってきました

 

私も今年は冷蔵庫と掃除機の買い替えがありますので、家電の価格チェックを日頃からしていたのですが、ヤマダ電機が楽天市場に出店してから面白い現象が起き始めました

 

どうやらヤマダ電機楽天市場店がネット通販の最安値を更新しているらしい

 

家電量販店やAmazonだけじゃなくて、いわゆる現金問屋的な中小のネットショップの価格すらも更新して最安値をつけているっぽい(もちろんすべての商品ではない)

 

これに気づいてから色々調べて観たところ、毎日ではないけれどもどうやら特定の商品の価格が最安値になっている模様です

 

となると、これにつられてAmazonが価格を追尾する→ヨドバシやビック大手量販店も価格追尾する

の連鎖が起きてきます

 やばいですね、家電超安い

しかも、楽天市場ポイントが沢山つく!

 

ネットの大手量販店以外の店のいくつかはこういったポイントの差額で収益を得ているショップもあると推測しています

5と0のつく日で、かつイーグルスが勝利した日で楽天のSPUを活用して…なんてやると、10倍以上のポイントがもれなく付くわけです

その差額で転売する輩が出始めますので、価格がさらに下がります

 

その下がった価格をヤマダ電機がさらに追尾します

以下ループ

 

※一例

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家電業界バカじゃねぇの?と思いましたが、7月のボーナスシーズンに安く家電が購入できるのは消費者にとっては嬉しいことですね

 

というわけで、この7月はヤマダ電機のおかげで家電が安く買える月だったのでは?と考えています

これをヤマダ電機効果と言わずしてなんと言うでしょうか

8月もまだ続きますかね?

 

私の記憶が確かならば、ヤマダ電機って仕入先からのいわゆる「協賛金」が商品に反映されないんですよ

商品1つ1つが儲かっているか否かは関係なくて、どんぶり勘定

だから値段下げつづけても、それが赤字かどうかよくわからない

 

シノドスの記事では運送業者の値上げによってネット通販の価格は上がるとかいう話出てましたけど、

そもそも送料は経費として観ている量販店があれば、送料分なんて価格添加されていないと見て間違いないので、価格の上昇には寄与しないのではと考えています

 

これからの日本の家電のために

この7月はヤマダ電機効果で大変安く家電が購入できる消費者にとってはお得な日々

8月もこの傾向が続くかどうかはわかりません

 

「日本の家電は云々〜」 と上から目線のコメントが降り注ぐネットの世界ですが

製品の価値を貶めているのは過度の安売り合戦ではないかと考えています

 

消費者にとっては安いほうが良いのですが、前述の通りエコポイントやアナログ停波といった政策のせいでシャープや東芝があんな形になってしまったわけで

Amazonやヤマダ電機の安売りは本当に日本の家電のためになっているのか甚だ疑問です

 

なんでもかんでも安く売ればいいという時代ではなくなったはずなのだから、価格以外の商品訴求にもっとイノベーションを起こしましょうよ

 

 ただしカドーやバルミューダみたいにどこで買っても値段が同じみたいなメーカーは、「お前ら独占禁止法100回読み返せ!」という思いで大っキラいです

家電メーカー各位には今一度商品の「価値」を見直して、Amazonやヤマダ電機と対峙してもらいたいものです

 

という家電ウォッチャーの妄想でした

 

<追記8/3>

8月になりヤマダ電機の攻勢は収まった模様です