テレビ番組やらツイッターとかで「炊飯器でお米を美味しく炊く裏技」みたいなやつで「炊飯器に氷を入れて炊く」というのをみかけます。検索するとすごいたくさん出てくるんですが、あれってどうなんだろってずっとモヤモヤしていたんですよ。
沸騰するまでの時間が長いと甘さが引き立つというのが理屈らしいのですが、ちゃんとした炊飯器はコースごとに炊飯時間や温度管理が制御されているので、氷入れたら釜内の水温がバラバラになってムラができるのではないかと思うんです。
想像で物を言ってもしょうがいないのでやってみます。
炊飯器に氷を入れて実際に炊いてみた
炊飯器はスペック低め、象印のIH炊飯器 NP-DA10です。
氷の重量を測って応分の水を減らして通常炊飯コースで炊きます。
炊きあがりの写真。
カニ穴っぽいのができていますが、カニ穴じゃないですね。
また炊きあがりが平常に比べてすり鉢状になっています。
実際に食べてみると「正直わからん」
私は特別に美味しくなったとは感じませんでした。
同じ炊飯器並べて同時に炊飯したものを食べ比べないと判断できませんね。
しょうがないのでプロに訊いてみました。
炊飯器メーカーは氷を入れて炊飯すると美味しくなると考えているか
炊飯器のシェアの高いメーカー、象印マホービン・タイガー魔法瓶・パナソニック・三菱電機、4社の相談窓口に質問しました。
質問内容「炊飯器に氷を入れると美味しく炊けるという情報をよく見かけるが事実ですか」
各社それぞれご丁寧なご返答をいただきました。
※回答はそれぞれ原文ではなく要点をまとめています。順番は適当です。
氷を入れると水の温度が低くなるため通常の炊飯時間よりも長くなり火力がかかると考えられます。ただそれが炊きあがりに影響が出るかどうかはメーカーが推奨している炊飯方法ではないので答えられません。
また氷を入れた場合内釜の外が結露し、結露した水がセンサーに異常をきたす可能性が無視できないので氷を入れるのは控えていただくようお願いします。
吸水温度に達すまでの時間が長くなるので炊飯時間が長くなるでしょう。
氷を入れたからと言って故障するわけではないと考えられますが、美味しく炊けるかどうかという検証はしていません。メーカーとしてはおすすめしていません。
炊飯ボタン押下後の給水工程と沸騰工程はそれぞれ別に制御されています
氷を入れた場合は吸水工程にて氷は溶けますがその時の吸水状態に変わりがなく、その後の沸騰工程は氷を入れない場合と変わりがありません。
氷を入れても温度コントロールが崩れるということはありません。
ただ氷を入れた場合の水加減が正確ではなくなる恐れがあるので注意しましょう。
氷を入れての炊飯を検証しているわけではありません。
炊飯器は窯内の温度を確認しながらきめ細かい火力調整を行う家電です。氷を入れずともどなたに炊飯いただいても、吸水・炊き上げ・蒸らしの工程を自動で行い同じような炊きあがりになるようにしているので、取扱説明書に記載の通りの炊き方で炊飯器にお任せください。
まとめると「氷、入れないほうがよい」です。
もちろん味覚は個人差があるので入れたほうが美味しいと知覚している方は引き続き氷も入れて炊いたら良いかなとは思います。
興味ついでに最近見なくなったグルメ芸人さんがしきりに言っていた「炭酸水で炊飯すると美味しく炊ける」に関しても訊いてみたところ、
「検証していないので知らんけど、吸水工程で温度が上がった時点で炭酸が抜けるので意味ないのでは」とのことでした。
最近のちゃんとした炊飯器は炊飯ボタンを押した後に吸水工程が存在するので「夏場は30分冬場は1時間」みたいな吸水に時間をかけることすら不要です。(早炊きモードは吸水工程が端折られるので美味しく炊けないんですよ)
わざわざ慎重に分量を計って氷を入れる手間をかけなくても、良い炊飯器と良いお米と良いお水で分量通りに炊飯するのがよさそうです。
新米の季節ですのでおいしくお米食べましょう。
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