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レビュー 香港イヤホン 1216.ears 12BA は『魂』 震わせるソウルフルサウンド

香港のガレージイヤホンメーカー1216.ears。

3年ほど前、有名カスタムIEMメーカーと似たような音を低価格でといった触れ込みで話題になりました。

最近はオリジナルモデルを意欲的に作っているのもあり、2018年の10月頃に「なにか新しい面白いイヤホンを作らないの?」とコンタクトを取ってみると、「クリスマスに新作出すから楽しみにしていて」と返答がありました。

 

12月になると1216.earsにイヤホンを注文するのが慣習みたいになってきたので、そのクリスマスの新製品を待っていたところ、2018年は「ラッキーバッグ」という名でこれまでの製品+アップグレードケーブル付きでの大幅値引きセールを実施するとのアナウンスが!

その中でも目玉は「ラッキーバッグC」これまでのフラッグシップモデル『KING』もしくは最新作『12BA』が入っているとのことでした。

無試聴ですが、私の所有している8EVに比べてどう?と尋ねると、確実にアップグレードしている旨の返信がきましたので、えいや!と注文してみました。

 

当初予定から1ヶ月半ほど遅れましたが、ついに届きました。(いろいろありました)

結局ラッキーバッグCはすべて最新作の12BAということで、私の手元にも12BAがやってきたのです。

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 HPもないし、試聴できるお店もない、けれどもポータブルオーディオファンの中ではそこそこ知られている1216.earsの最新作、どんなイヤホンなのか早速レビューしていきます。

レビュー 1216.ears 『魂』 12BA

まずは到着した状態から。

左がこれまでの1216.earsのイヤホンが入っていたペリカンケース風ケース。

右がこんかいの12BAが入っていたペリカンケース風ケースです。

観て分かる通り、かなりサイズアップしました。

私が普段使っているBrise audioのケーブルは太くて普通のケースには収まらないので、このケースは非常に助かりました。(中にはスポンジも入っていました)

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 つづいておまけのケーブルです。

今回はラッキーバッグの特典としてアップグレードケーブルが2つ付属していました。

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右側は銀線かなと思いましたが、銀メッキ銅線っぽい感じでした。

標準付属のケーブルよりも情報量が多く、e☆イヤホンなどで買ったら1万円以上はしそうな印象です。

標準の3.5mmプラグだったのが残念!いずれ機会があれば4.4mmのバランス端子に付け替えたいです。

 

それではイヤホン本体を観ていきます。

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L側です ぎっしりBAドライバが詰まっていますね。

配線が透けて観えて美しいです。

12BAの名前の通り、BAドライバが片側12基配置されています。

ドライバ構成は以下の通りです。

  • 2 Dual Low BA( 1 super low+ low)
  • 2 Mid BA
  • 4 Mid-High BA
  • 4 High-Super High BA

Mid BAがボーカル帯域を担当していて、Mid-Highが各楽器の解像度を高めるようにチューニングされているとのこと。

私が所有している1216.earsのどのイヤホンとも異なるチューニングがされてましたので、音質については後ほど。

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 R側には『魂』の文字が!

最初は面を喰らいましたが、1216.earsになぜ魂なのかを訊いてみると、すべての演奏者や歌手にとって演奏する際に「魂」を込めることは非常に重要で、このイヤホンではその「魂」を表現したかったとのこと。

なるほど、それを訊いてからちょっとこの漢字一文字に愛着が湧いてきました。

案外普段着ているTシャツだって海外の方から見れば滑稽な言葉が書いてあるだろうし、大丈夫みんな他人の耳なんか観てないです。

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シェルとフェイスプレートのカラーは、これまでは注文時に色指定ができたのですが、今回はラッキーバッグということでお任せ。(紫っぽいのよろしく!くらいのオーダーをしました)

シェルはパっと見同じ色だったのですが、よく見ると左右で異なる色合いでした。

ほのかにグラデーションしていて、すごく美しいです。

 

所有する、4FE、8EVと比較してみました。

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 12基もBAドライバ積んだら、そりゃ大きくなるわなということでだいぶずんぐりむっくりしています。

ケーブル次第ですが、装着感は悪くないです。(Briseのケーブルだと当然悪い)

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音導孔が4つになりました。

それにともなってステム径がなんと7mm!

かなり太いので、ソニーのトリプルコンフォートイヤーピースやコンプライはつけられないようです。

 

イヤピースはいろいろ試しましたが、この音導孔を邪魔しないように開口部が大きめのイヤピースがおすすめです。

音的にはAZLAのSednaEarFitが一番良かったですが、SednaEarFitはシリコンが硬いので、ちょっと耳が痛くなりがちです。

普段遣いのことを考えて、私はアコスチューンのAET06aを選びました

Sサイズは開口部が小さいのでMサイズです。

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1216.ears 『魂』 12BA 音質チェック

それでは音質をチェックしていきます。

まずはDAPはソニーのNW-ZX300、ケーブルはBrise audio UPG001 LE Rh+の改造版で4.4mmバランス接続しています。

DSEE HXやらトーンコントロールなどはすべてOFFです。

音量はハイゲイン(ZX300のハイゲインは単純にリミッター解除だけ)で34程度、8EVでは40でしたのでちょっと鳴らしやすくなっています。

 

www.youtube.comまずは名古屋の路上ロックンロールヒーロー Suspended 4th の「INVERSION」

とにかく各パートが暴力的な音を叩き出すシーン注目のスーパーロックバンドです。

 

いつも試聴の際にはSus4の楽曲を聴いているのですが、とにかく彼らの曲は何で聴くかで表情がガラッと変わるというか、活かせるかどうかが決まります。

12BAで聴いた瞬間、脳内ズガーンっと音が暴れまわりました。

 

ベースの存在感が強く、それでいてボーカルも8EVに比べて前に出てきています。

ギターはフレットの運指が見えるような一音一音が明瞭で、スネアは少し重めでバスドラはかなりの重量感。

ドラムのデニスはよくカップを叩くのですが、カンカンとは鳴らず余韻があります。

カラッとした音色の4FEとは全く違う響きのあるサウンドです。

 

イヤホンには音場ってあまりないと思っていましたが、それぞれのパートは極太なんだけれども広大なステージでハッキリとセパレートされていると感じました。

イヤホンだとあんまりこういう音聴いたことないです。

 

www.youtube.com4月11日でBaのコシミズカヨさんが脱退してしまうのが残念でならないFINLANDSの最新曲「UTOPIA」

 

塩入冬湖さんの金切り声もまったく刺さらないし、カヨちゃんのベースラインはハッキリとした存在感を持って表現されました。

FINLANDSはギターが2本で、これまでは澤井さんのリードギターばかりが聴こえていましたが、なるほど12BAでは冬湖さんのギターも存在感が感じられました。

もともとエモやシューゲが基盤にあるFINLANDSですから、12BAの濃厚で残響感のある音色がピッタリでした。

 

そういえば、FINLANDSの金切り声をはじめ他のボーカリストは刺さらなかったのにACIDMANの大木伸夫のサ行は刺さりました。(謎)

 

www.youtube.com天才中村一義ビクター移籍後に再録したベストアルバム『最高築』から100s時代の超名曲キャノンボールを。

 

これがもう本当にヤバかったです。

いや、待ってくれ このアルバムこんなにすごい音で録音されていたのか!!

この音のスゴさを表現する術がないです。

12BAで聴いたあとに別のヘッドホンやスピーカーも試してみましたが、こんな音楽体験は他にはできませんでした。

 いろんな曲を試しましたが、中村一義(100s)の楽曲は特に楽しめました。

やっぱり天才×メジャーのポテンシャルはすごいな。

 

その他、打ち込み系だとDATSやぼくりりくんも相性が良く、BA型のイヤホンですが超低域がかなり出ていて、DDドライバのような振動があるのを実感できました。

tricotもめちゃくちゃ良かったです。

 

相性があまり良くないなと感じたのは、原音忠実系のクラシックやピアノトリオみたいな曲でした。

残響感が大きく、もともとの音色にドーピングをしているような派手さが出てしまうので、繊細な楽曲にはあまり向かないなと感じました。

 

1216.ears 12BA『魂』はこんな人におすすめ

1216.ears 12BAはラッキーバッグ価格で80,000円(通常価格は12万円程度)

ちょうど私が8EVを購入した時と同じ価格でした。

高級イヤホンはどんどん値段が上昇し、ソニーですら20万円台のイヤホンを発売する中、10万円を切る価格でこれだけの特徴あるサウンドが楽しめるというのは非常に満足しました。

買ってよかったです。

 

独特の残響感と強烈なセパレーション、超低域までの存在感が大きく、「魂」の文字が示すようにエモーショナルな音表現をします。

私は4ピース以上のバンドに一番合うなと感じました。

 

一方でかなり派手な音が出るイヤホンですので、クールで硬質な音を好む音楽ファンや、原音忠実な音を探している方には不向きです。

 楽器隊が派手に鳴るので、声を中心に聴いている方にもあまり適さないと思います。

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おまけ

 いろんなケーブルやプレイヤー・アンプも試してみました。

かなり鳴らしやすいのでスマホでも十分だと思いますが、バランス接続ができるものがセパレーションをより感じるのでおすすめです。

贅沢にもTA-ZH1ESを試してみましたが、これが一番良かったです。

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 今回のラッキーバッグは当初納期をかなり超えた段階で「全部作り直す」といった内容のツイートがあり、非常に混乱しました。

結果としては素晴らしいイヤホンが届いたのですが、「本当は届かないんじゃないか…」と不安になりました…

 

Twitterで本人は一生懸命日本語をつかってくれるのですが、ニュアンスが誤解を招いてしまっているので、やりとりは英語の方が良いと思います。

 

1216.earsは通常に流通している商品ではありませんので、試聴する機会は専門店にたまに置かれている中古品を購入するか、すでに所有しているファンのものを使うしかありません。

あなたが12BAの購入を検討しているなら、この記事がその一助になれば幸いです。

 

しかし、せっかく良いイヤホンを作っているので、少々値段が上がったとしても代理店がついてサポートしてあげて欲しいな。

 

 

↓1216.earsのイヤホン注文方法は下記を参照ください

www.gajumaru.tokyo

ソニー SONY ヘッドホンアンプ・DAC TA-ZH1ES

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