私達の世代のヒーローの一人、蜷川実花
世間的にはポップでガーリーな写真と捉えられることが多いと思うんですけど、
ともかく写真にそれほど興味のないひとでも名前を知っているという数少ない写真家、蜷川実花
昨年、父である蜷川幸雄氏を亡くした彼女
その前後を撮った写真展が開かれるとのニュースがあり、そのメインとなる1枚を観た時、衝撃が走りました
この写真、蜷川実花の写真なのか?と
新世紀をとったころの彼女の写真はモノクロでしたが、それにしたって蜷川実花の写真なのかコレ…
あれから1年の間に写された蜷川幸雄と蜷川実花の“うつくしい日々”は、作家本人が「どうしてこんな写真が撮れたのかわからない」というほどこれまでの作品とは一線を画しています。
ニュースリリースより引用
もうこれは観に行かねばならいと雨の品川へ向かいました
原美術館のギャラリー4箇所には、カラフルな彼女の写真からはほど遠く
15年くらい前に流行ったような何も感情のない心象風景が広がっていました
川内倫子ほど生々しくなく
佐内正史ほど具象性がなく
ただただ衝動に駆られてシャッターを切ったような
でもその中で自分は蜷川実花なんだという存在証明を絞り出しているような
そんな写真が並んでいました
なんだか昔の自分を思い出して恥ずかしくなるような
あんなにストイックに撮り続けている蜷川実花が、同じようなものを観て、シャッターを切っているんだと思うと
ちょっと不思議な気がして、こんな部分を見せてもらえたんだなという思いでした
写真家は偶然を捕まえる仕事だと思っているのですが、蜷川実花はやはり写真家だなと改めて思わされました
同じ世代や少し上の夫婦
くびれたスーツを着た男性や流行りの服を着た大学生も居て
写真が安売りされているこの時代に こんなたくさんの人が集まるのはすごいこと
わずか10日間の開催期間に足を運べて良かった
撮影禁止なのが当たり前なギャラリーで、どうぞ撮ってくださいというのも彼女らしいメッセージで
この素晴らしい写真がたくさんの人に届けばいいな