1216.earsのフラッグシップモデル8EVを選んだ理由
私が愛用しているイヤホンは、香港のガレージメーカー1216.earsの4FE
いつも大好きなメロディックパンクを軽快に鳴らしてくれる相棒です
十分に満足しているとはいえ私の欲は深く、もっと良い音で大好きなバンドの曲を浴びたいと、お店や展示会に足を運んで色々な話題の機種を試聴してはみたものの、「ム!4FEの方が好み!」と袖を振る日々を送っていました
なかなか耳に馴染むイヤホンが見つからないので、お気に入りのイヤホンを作ってくれた1216.earsに4ヶ月ほど前から購入相談をしていました
「これ、欲しいんだけど…」と言ったら「いや、多分君の好きな曲に合わないから買わなくていい!」と返してくる商売っ気のない1216.earsさん
彼のおすすめは、この記事を書いている段階でのフラッグシップモデル 8EXと8EVでした
8EVと8EXの違いはドライバ構成やチューニングです
that is my suggestion.
if you like band songs, you love powerful, strong bass. emotional feeling. =>8EX.
if you like clear sound, treble, precision. treble=>8EV.
※8EXと8EVどっちがいいの?に対する1216.earsさんの返答
多分、聴いている曲の傾向からすると8EXかなと思っていたのですが、低音が出すぎるのがあまり好きではないのと、どうも高音が刺さるようなレビューを上げている方をTwitterで見かけたため、それならばと
丁度前回4FEを注文してから丸1年後、1216.earsの日、12月16日に8EVを注文しました
(だいたい日本円で8万数千円程度です)
注文の仕方はコチラからどうぞ
1216.ears 8EVのスペック
the specification:
2 low frequency BA: 1 Deeper Bass and 1 low Bass
2 Mid frequency BA
4 high Frequency BA: 2 high frequency, and 2 Super high frequency.
you can feel more deeper bass, more passion.
and you can feel the extension of treble. more smooth and beautiful.
ということで片耳8BAドライバが組み込まれています
インピーダンスや感度はわかりません(Head-Fiには書いてありましたけど)
VISION EARSのVE8をオマージュして作っているモデルとのことですが
「VE8とほぼ一緒!値段は安い!」のような表現はなしに販売しても良いのになと思う所です
そういえば最近はいわゆる中華イヤホンでもこういう表現が減っていますね
そんな宣伝しなくても日本人が勝手にSNSやらで販促してくれるからなんでしょうか
知らんけど
1216.ears 8EV レビュー
注文から45日後くらいに完成連絡が来ました
どうも1216.earsさんはまとめて商品を作っているっぽいので、12月末頃に注文していた方たちと同じくらいに発送されてやってきました(発送から到着まで7日くらいでした)
それではレビューしていきます
付属品はシンプルです
ペリカンの1010のケース、前回はブラックでしたが今回はイエロー&クリアのケースに入ってきました
イヤピースもなんか変わった気がします
付属のケーブルは細くて取り回しの良いものです
ケーブル端子は2pinとmmcxから選べて、私は前回同様mmcxにしました
カラーは自分で指定できます
フェイスプレートの色を変えたい場合は+100HKDです 前回は+1,000JPYだったのでいつの間にか若干値上がりしてました
今回は RIGHT:transparent light green × transparent sky blue
LEFT:transparent light pink × transparent purple でオーダーしました
1216.earsさんのTwitterに製作例の画像がたくさんあるので、その画像を送ったりするとスムーズにイメージを伝えられると思います
ピンクが結構渋い色でした…
片耳8ドライバということでシェルはかなり大きいかな?と身構えていたのですが4FEとそれほど変わりません(黄緑色のが4FEです)
ちょっと鋭角なデザインに変わっていて装着感はとても良いです(装着感が良いので遮音性も高いです)
さて、それではイヤピースやケーブルを変えながらチューニングしていきます
先ずはイヤピースから
ステムがかなり太く6mmもあるので結構な種類のイヤピースが淘汰されます
COMPLYは500番がかなり無理をすれば入らないこともないですが厳しいです(600番なら入りますが、今のところアジアンフィットがありません)
ソニーのトリプルコンフォートイヤーピースも入りませんでした
for me, spinfit is the best!
— 1216.ears Official (@1216_ears) 2018年2月2日
スピンフィットは解像度がグンと上がる一方で、音がスカッと抜けて軽くなってしまう印象でした
私のイチオシは同じスピンフィットのTwinBladeで、次点がAcoustuneのATE07と08
それぞれ耳の形は千差万別、イヤーピースでうまくチューニングするのもイヤホンならではの楽しみですね
つづいてケーブル選びです
左から
Brise Audio UPG001Rh+LE 4.4mm 5極
E4UA オヤイデ4N純銀撚り線とACROLINK銀メッキ7NOCCのMIX(オーダー品)
easy earphoneで買った$40のめちゃ安4.4mm 5極
付属の3.5mm 3極
ケーブルで音は変わらないなんていう方もいるかもしれませんが、8EVに関しては大きな変化があり驚きました
ケーブルの価格には素材以外にも当然人件費や販売数に依るところがありますが、それでも値段の高い安いにはそれなりの意味があるよなと改めて感じた次第です
というわけで今回はBrise Audio UPG001Rh+LE をチョイスしました
取り回しなんか犠牲にしたって音が良いいことが優先なのです(取り回しを改善したモデルも出ましたが、良いところどりなんてことはないのです)
ま、Briseのケーブルにした代償の1つとして、ケースに入らなくなりますよね…
びよんびよんです
ではここらで前置きは終わりにして音質レビューしていきます
1216.ears 8EV 音質評価&レビュー
<再生環境>
DAP:SONY Walkman NW-ZX300
→バランス接続&DSEE HXはONでその他の音質設定はOFFです
イヤホン:1216.ears
ケーブル:Brise Audio UPG001Rh+LE
イヤーピース:Spinfit TwinBlade
先ずは大好きなメロディックから
堺のオッサンこと今年結成20年を迎えたGOOD4NOTHINGの最新アルバムから「SIGNAL」
ご機嫌西海岸風メロディックのイントロから疾走感溢れる名曲です
あれ?
SUNEさんのスネアの音、違わないか
「タンッ!」という乾いたスネアの音が大好物でそれが故にメロディックとかポップパンクを聴いているような所があるのですが、そのスネアの音が「ドゥム」というような太い音に…
とにかく低音域のサウンドがグイグイ押し込んできます
おいおい、ドライバ4つは高音域じゃなかったんかい
ハイハットの金属音もちょっと本来のそれより響きすぎている印象です
ムムム…
ちょっとモヤモヤしながら、続いての曲に
みんな大好きヒイズミマサユ機率いるピアノトリオ、H ZETTRIOから季節外れですが『Chrismas Songs』より「JINGLE BELLS」
なんだこのウッドベースの存在感 太い…太すぎする…
NIREさんのベースとKOUさんのキックがメインみたいな曲になってしまいました
3人が全員ムキムキマッチョマンになったようなイメージ なんだこれ
いや、たしかにBrise Audio UPG001Rh+LEが音を太くする系のケーブルなんですけど、ここまでドンドン騒ぐサウンドにならなくてもいいんじゃないかしらと
どうしたもんかと悩みました…
ウォークマンの音量は45くらいで聴いていて、十分音量は取れていたのですが、ふと思いついてハイゲイン設定に変えてみたら…
急にバシッと音像がキマってきました 各パートの立ち位置がくっきりして音が混ざらなくなったような感じです(理屈は知りません)
お!これは良いぞと続いては邦楽ロックへ
遅れてきた天才ことミツノマサルらによるnecozeneco初の全国流通盤『nene』より「初恋」
昨年末にマサルさんの歌声をライブハウスで聴いて一気に虜になりました
今の邦楽ロック界隈でこんなに魂が歌に乗っているボーカルはなかなかいないんじゃないかと思っています
余談ですがデモ盤の『owaranai EP』に「東京と」など同曲が『nene』に入ってますが全然違う音するので両方買うと良いと思います
良かった、この曲は8EVですごく良く響きます
ハイハットも死んでいないし、「初恋」の歌詞のところもグッとエモーショナルに聴こえます
ただ、大サビ前のドラムソロが変
色々聴いてみて、あとはマイヘアの椎木くんのソロやSaucy dogなんかが良かったです
多ドラだから音数が多い曲が合うかと思っていたのですが、アコースティック寄りのサウンドと相性が良いみたいです
他にもBruno Marsとかサカナクションとかぼくりりくんとか聴いてみたら、耳の中にウーファーボックス突っ込まれたかというような感じでした
こんなに低音域出るとは…低音域重視の8EXはどんだけなんだろう…
ベースが主張しすぎるので、全国のベーシストを目指している若者たち、休日課長やコシミズカヨ大好きな方には、このイヤホン使うと耳コピ楽勝だよ!とオススメします
しかし、まぁことごとくメロディックパンクに合わないわけですよ
全く疾走感がなく、ベースとキックがドコドコ鳴り響いてしまうのです
ベースとドラム以外の楽器やボーカル自体はそれぞれが良い音だしているんだけど、4FEに戻してみては「そうそう!こういう音がほしいんだよ!」となってしまう自分…
1216.earsさんは「95%の顧客が8EVの音がほぼ完璧だったと言った」と呟いていたけど、どうしよう比率減らしちゃう…
どうしたもんかと悩みつつ
上流を変えてみてはどうかとiPhoneで聴いてみました
iPhone8plus → Dragonfly Black → ALO audio RX → EFFECT Audio Thor Copper → 1216.ears 8EV
これが面白いもので、だいぶ変わるんです
ケーブルを替えた影響もあるのですが、ALO Rxの独特な金属が響くような鳴り方が反映されてきて割りと聴きやすくなりました
どうやらこの8EVというイヤホン、DAPやケーブルやイヤーピースなどなど
ちょっとしたことで音が大きく変わるようなのです
低音域を減らしていくには銀線のケーブルに替えればいいかなと思ったのですが、あいにく手持ちに4.4mmの銀線ケーブルがなかったため
苦肉の策ということで、DAP側をいじってみました
そう、ウォークマンの「トーンコントロール」を使って
トーンコントロールした8EVは無敵のイヤホンだった
ウォークマンZX300には10バンドのイコライザー以外にも、低中高音域を増減するトーンコントロールなる機能があります
イコライザー否定派の私でしたが、背に腹は代えられない
トーンコントロールはイコライザーじゃないから使ってもいいんだ!とかいう支離滅裂な謎理論を振りかざして設定してみました
BASS:-2 MIDDLE:+2 TREBLE:+4
スゴいのはあやぺたの髪の色だけじゃない
大阪が産んだトラディショナルなメロコアバンド Dizzy Sunfist 2枚目のフルアルバム『DREAMS NEVER END』
1枚目の『Dizzy Beats』から1年半の間に何があったんだ?というくらい破壊的に素晴らしいアルバムです
メロディックの若手バンドどんどん増えていますけど、こんなモンスター級のバンドがいたら上を目指すのが楽しいですね
全曲めちゃくちゃカッコいいですが、その中から「No Answer」を
やばい!
なんだコレ!こんなサウンドが聴きたかったんだ!
疾走感と重厚感を同時に手に入れたmoAiさんのドラムが暴れまくっていて
ギターもピッキングしているのがわかるような解像感
ベースもこれまでドコドコ鳴っていたのがウソみたいに美しいサウンドでしかも存在感はシッカリ残っていて
とにかくやばい!語彙力失いました
続いて、怒れるメロディックパンクバンド STARVINGMANの2ndアルバム『Sound Of Sirens』から「タックスヘイブン」
パンクって解釈は色々ありますが、今の気持ちを日本語で思いっきりぶつける力と演奏、ボーカルのマーティのアナーキーな歌声がとても良いバランスで成立している、ちょっと類似のバンドが見当たらないステキなバンド STARVINGMANです
ああ、なんということでしょう
頭内がライブハウスになっています
しかも定位としてはボーカルが自分の口の位置にくるので自分がライブハウスで唄っているかのようです
バンドメンバーの立ち位置もくっきり浮かんできました
ちょっと気になって4FEに戻してみたのですが、シンバルが機械的でサウンドステージも狭く、楽器のセパレーションも今ひとつ
スゴいじゃん8EV!
最後に、今私が1番大事に聴いている曲
ピザ内レーベルJunGreyRecordsから初の全国流通盤『エピソード』をリリースしたばかりのrem time rem time
歴史に残る名曲「yellow」です
知ってしまう前と後でこの曲の聴こえ方は変わるし、たぶん知ってから聴いた方が良いと思います
多分、今わたし、レムタイムの曲、日本で1番良いイヤホンで聴いていると思います
ライブハウス以外で、3本のギターアンサンブルが再現されるとは思いませんでした
右側から聴こえるウリさんのギターから左の福田さんへ音が虹のようにつながっていきます
ゆたたさんのドラムって、他の邦楽ロックバンドではあんまりみかけないような叩き方している気がするんですけど、完璧に頭内で叩いている姿見えました
トーンコントロールする前に挙げたG4Nやnecozenecoなども、この設定で聴き直したらめっちゃ良かったです
まとめ 1216.ears 8EVはこんなイヤホン
最初使い始めてからは自分の好みに合わずどうしようかと悩んだ8EVでしたが、今では最良のパートナーになりました
8EVならではの特徴というものもあるのですが、このイヤホンはそれ以上に自分好みにチューニングしていくのが楽しい変化するイヤホンなんじゃないかと感じています
嫌がっていたイコライザーによる調整もやってみるもんだなと新しい扉が開いた思いです
ちょうどfinalが700通り以上に音質をカスタマイズできるイヤホンをMakuakeで「予約」をとっていますが
あれ、イヤホンじゃなくてDAPやスマホでやればいいんじゃないかと
(ZX300が良いDAPだからなのかもだけど)
8EVは基となる素性が良く、ハマったチューニングができれば最高の音を響かせてくれるイヤホンです
自分好みのアクセサリーや設定を見つけるまでには手間がかかるかもしれませんが、それが見つかった時にはあなたの音楽体験をもっと良いものにしてくれるでしょう
試聴ができなかったり、そこそこ良い値段もするので簡単にオススメできるイヤホンではありませんが「買ってよかった」です
また新しいケーブルなど探してみてはチューニングを繰り返して大事に永く使っていきます
新製品をどんどん追いかけるのも楽しいですが、手持ちのイヤホンやDAPもちょっと設定を見直してみるのも良いかもなんて感想も湧いてきた今回の購入体験でした
もうこれ以上イヤホン買わなくて良いなと感じましたが、
新しいイヤホンを買う度に最近聴かなくなった曲がどんな風に聴こえるのか聴き直したりする機会にもなるので、またこれからも探してみようかななんて、ちょっとだけ思っています
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