2017年ブレイクするバンドに必ずと言っていいほど名前が上がってくる緑黄色社会
閃光ライオット2013で準優勝した名古屋(名古屋じゃなくて愛知だそうです 訂正いたします)の4ピースバンドです
全国流通盤としては2枚めになるminiアルバム『ADORE』が8月2日に発売されたので、早速聴いている毎日です
『ADORE』のリードトラックは1曲目の「始まりの歌」
スペースシャワーTVのPOWER PUSHにも選ばれているので、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか
今回はこの「始まりの歌」ではなくて、
収録された5曲の最終曲「それなりの生活」についてです
ライブ会場限定盤『リアリズム』に収録されていた楽曲ですが、全国流通盤で聴けるようになりました
歳を重ねるにつれて歌詞に共感しなくなる
普段は邦楽メロディックパンクやメロコアを中心に聴いている私、もういい大人なので歌詞に共感するとか、内容に背中を押されるなんてことはついぞなくなっていました
語感や語呂の良さだったり、演奏にあっていたりとかそんなことが中心になってくるので、歌詞カードを眺めることもありません
サカナクションやクリープハイプみたいなタイプのバンドの歌詞だとよく作ってあるなぁと感心はたくさんしますが、感動するわけでもありません
Mステで筋肉隆々の強面のヤンチャな見た目の男性が愛だの恋だの唄っているのを観ると共感性羞恥が発動してゾワゾワしてしまいます
THE イナズマ戦隊みたいなバンドの「サラリーマンがんばれ!」みたいなメッセージよりも、ビジネス書の名著にかかれた金言の方が響くようになってしまいました
もしも同居人がある日突然いなくなってしまったらMy Hair is Bad聴きながらクヨクヨするのかもしれませんが、
10代の頃みたいに歌詞に共感してうっとりするような青臭さはとっくの昔に捨て去ってしまってしまったようなのです
ついでに度々「この歌詞は◯◯さんの実体験ですか?」とかいうインタビューみると著しくゲンナリします
前置きが長くなりましたが、歌詞への興味が薄い私にとってなお緑黄色社会の「それなりの生活」は歌詞がスゴいんです
「それなりの生活」の歌詞のここがスゴい
歌詞に共感することを失った私、『ADORE』もなんとなく聴いていましたが、ふと歌詞カードを観ながら「それなりの生活」を聴いて驚きました
↓※動画はフルバージョンじゃないしアレンジも違うので、CD買って聴いて!
長屋晴子スゴいぞ
上手くやっているよ それなりにね
誰かに教わった元気の出る唄はもう聴き飽きたけど
犠牲を増やして 前を向いていれば
いつか明るい風が吹くってひたすらに勘違いしながら
緑黄色社会「それなりの生活」歌詞から引用
大丈夫か長屋晴子
これサビですよ
普通の邦楽POPとか邦楽ロックだったら
「誰かに教わった元気の出る唄を聴いて、前を向いて歩いて行こう
いつか明るい風が吹くって信じているから」
とかにするんじゃないでしょうか
おう、長屋晴子、聴いても元気出てこないぞ
これといって辛くもない
命を捨てたい訳でもない
だけど何かが足りない
緑黄色社会「それなりの生活」歌詞から引用
「やりがい」とか「生きがい」とか好き勝手なことばっかり言われますけど、そんなものなくても生きているんですよと
実際、さとり世代じゃなくったって、こういうこと思ってるんですよ
めっちゃわかる
そんな生活の中で、Cメロで「何か」を「必死に探す」んですね
探した結果の大サビが…
上手くやっていくよ それなりにね
誰かに教わった元気の出る唄でも聴いてみよう
大事なものは全部大事にしなきゃね
緑黄色社会「それなりの生活」歌詞から引用
それなりに生きていくんですよ(探したけど見つからなかったらしい…)
もちろん変化はあるんですけど、やっぱりそれなりの生活をするんです
だんだん盛り上がっていく曲調で、最後の「大事にしなきゃね」で高く伸びていきたいところを、逆に低い音にすぼまっていくんですね
非常に読後感が悪いというか、もっと気持ちよく聴きたいのに落ちていくんです
光る未来はまだ見えないけどだからこそ行け
緑黄色社会「それなりの生活」歌詞から引用
普通の曲だったら「光る未来がまっているから 行こう」になりそうなもんですけど
「行こう」じゃなくて「行け」なんです
聴いている誰かに「行け」じゃなくて自分に言い聞かせる「行け」
Cメロを経て前へ進もうとしているのはわかるんだけれども、前に進もうとしたからと行って状況が良くなるわけでもない
この唄を聴いて解決策なんか出るわけじゃなくて、それなりの生活を続けながら生きて行けって
私からすると、美しい歌声をもってなお大変努力もしているんだろう長屋晴子さんですから、悩むことはあれもっと強く生きていて、伝えたいメッセージもありそうに思うんですが、
こんなこと考えて生きているんだなと、酷く感情移入をしてしまって いい大人が涙流す寸前までいきました(泣いてないし)
共感を得なくたって、恋する女の子の役に立たなくたって、OLの教祖にならなくたって、こうやって色々響いてくる歌詞っていうのもあるんだなぁとジーンときてしまいました(泣いてないし)
いやね、でもこういうハッピーエンドじゃない歌詞って他の曲にももちろんあるわけなんですけど、なんでこの「それなりの生活」の歌詞がスゴいと言っているかってーと、
冒頭に動画を貼り付けた『ADORE』の1曲目「始まりの歌」を振り返ってほしいんです
曲調も希望に満ちたサウンドだし、歌詞もね序盤はくじけてもがいている主人公なんですけど
さあ始めようか僕のイメージの先へ飛び立とう
何度でも始まりの歌を歌おうルラララ
もう止まらないさ
見たことのない世界目指して
ララルラ ララルラ ララルラ
さあ歌おう
緑黄色社会「始まりの歌」歌詞から引用
と、めちゃくちゃポジティブに次へ向かっているんですよ
スタートでポジティブに歌い始めて、前を向いて行こう!いろいろやってこう!みたいな呼びかけをしておきながら、最終曲で「いや、何も変わんなし、それなりの生活ですよ結局」と唄っちゃうんです
リードトラックたる「始まりの歌」は色んな人に届いて欲しい歌だから、明るくポジティブに、10代20代のリスナーに響くように作っているのかもしれませんが
このバンドの本質は「それなりの生活」みたいな曲にあるんじゃないかと勘ぐってしまって、だいぶ好きになりました
『ADORE』はタワレコ限定盤
これを書いている8月11日の翌日12日にタワレコのインストアイベントに行ってみる予定です
その時「それなりの生活」を演奏してくれるかはわかりませんが、その時はどんな風に聴こえてくるのか今から楽しみです
ミューモンでもライブ会場に向かいます ワンマンのチケットも買いました
どうしてもボーカルが目立ちますが、4人がこれからどんな風に変わっていくか本当に楽しみなバンドです
4人でどんどん良い歌をたくさんの人に届けてくれるのを祈っています
[追記8/13]
インストアライブ行ってきました
モニターチェックの時に淡々と進む中で、マイクのモニターチェックで声出した瞬間にあの場の空気が変わったのが面白かったです
ライブでは「それなりの生活」演奏なかったのですが、長屋さんに「それなりの生活スゴい良かった!」と感想伝えられて満足です
小林くんは演奏中はずっと真剣な顔だったんですけど「MUSIC MONSTERでも観に行くよ!」って言ったら、めっちゃキラキラした笑顔してくれて惚れかけました
↓タワーレコード限定盤なので買うならタワレコで