我が敬愛する中村一義の20周年記念を彩るアルバム『最高築』
レーベルを移籍する度にベストアルバムを出してきた中村くん『90s』『15 Singles+1』『最高宝』(全部持ってるけど)
またベストアルバムかよ!また1曲だけ未収録音源つけてくるだけかよ!と思うのも無理ないことですが、
『最高築』 違います
なんとセルフカバーで、先行配信曲の「世界は変わる」などを除いたかつての名曲が再録されているのです
買いましょう、必ず買いましょう
最高築 (初回限定プレミアム盤[CD+BOOK+GOODS])
- アーティスト: 中村一義
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2017/05/24
- メディア: CD
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ということで予約して届いた『最高築』初回限定盤
これまでのアルバムジャケットを使ったバッチが10個(10個も!)
さらに我が人生の師、敬愛する佐内正史の写真集がついてくる(ついてくる!)
もちろん『最高築』のCD
これで6,000円切ってるだと… 下手したらバッチだけでも5,000円で売れるんじゃ…
佐内さんの写真集9,000円くらいでも買うと思うんだが…
そう、『最高築』の初回限定盤は価格破壊です
買いましょう、初回限定プレミアム盤を必ず買いましょう
さて、まだ買ってなかったアナタも、今注文されたと思いますので話を進めます
発売後毎日じっくり聴いてみて、初見の感想とは変わってきた部分も含めて文字に残していきます
謎の全曲レビューやっちゃいます
中村一義『最高築』レビュー
セルフカバーといえば2016年はアジカンがソルファを再発売したのが記憶に新しいところ
リミックス版やトリビュート版って「コレジャナイ」感が結構あるので、期待半分 まぁそんなもんだろう感半分
のほほんとした気持ちでミックスナッツを片手にコーヒー淹れてソファーにどっかり座ってスピーカーのスイッチを入れました
はじまりは 当然、あの曲です
1曲目:犬と猫
全身の毛が逆立ちました
これは、私の知っている犬と猫じゃない
二声じゃない
デビュー当時の「犬と猫」の衝撃たるや筆舌に尽くしがたいですが、
本作の「犬と猫」は特徴的なイントロはなくなり、左耳から聴こえてくる抽象的なギターはもっとマイルドで現代的な楽曲に仕上がっていました
なるほどこれが再構築
不思議とこの変化が嫌なものではなく2017年の中村一義の楽曲になっているとすんなり受け止められると同時に、セルフカバーがただの再録ではないことを感じました
2曲目:永遠なるもの
そう私が生涯で最もたくさん聴いた曲「永遠なるもの」
場内での撮影は禁止されているかどうかの言及もなく始まる新しい「永遠なるもの」
江戸川に置かれたピアノから遠く登っていくサウンドではなく、20人だけ集められた小さなライブハウスで丁寧に唄ってくれたような響きで
あの頃の曖昧さや危うさみたいなものがなくなりクリアで素直で
この「永遠なるもの」もとても良い…
3曲目:魂の本
低域にずっとノイズが乗っかっていてイヤホンなどパーソナルな環境でまとも聴くのが困難…
このノイズ、他の曲にも多少存在して、とりわけ魂の本では盛大なノイズが始終響いているせいでろくに聴けませんでした
どういうマスタリングしたのか本当に謎
※イヤホンやDAPやアンプやらを色々取り替えてもノイズが残りました
適度に悪いスピーカーなどで聴くのであれば問題ないけども、世に出る前に何とかならんかったかのかと
まともに聴けないのでとくに感想なし(とても残念)
4曲目:笑顔
中村ファンの間でも物議を醸し出した『太陽』を締めくくる1曲
あの「笑顔」はマッチーのアコギと中村くんの歌声のみ
太陽の中の「笑顔」とは違い、少し足を止めてゆっくり深呼吸をするような空間がそこにはありました
『金字塔』と『太陽』を連続で聴くのって難しいんですけど『最高築』だとすんなりつながっていくのを感じます
曲終わりに中村くんのつぶやきが入るのですが、『太陽』のジャケット裏の写真を思い出してちょっとグッときました
5曲目:1.2.3
中村ファンに「好きなアルバムは?」と訊くと高確率で『ERA』と返ってくる
そんな『ERA』から「1.2.3」です
もともと『太陽』と『ERA』の落差がものすごかったのですが、「笑顔」から不思議と何の違和感もなく「1.2.3」へつながってきます
バンドサウンドが全面に出ているのとVoが前にでるように調整されており、ライブをするようになって以降の中村ファンには、この曲調の方が受け止めやすいかもしれません
当時の中村くんの中にあったサブカル的な要素をアク抜きしたようなそんな1.2.3でした
↓iTunesストア 曲名間違えてね?
6曲目:ロザリオ
こちらも同じく『ERA』から
やっぱりバンドサウンドになっているのが印象的
テンポが上がっているせいもあってストレートに曲が飛び込んできます
『ERA』って「ゲルニカ」や太陽の塔のせいもあって、だだっ広い黒い空間の中で演奏されているようなちょっと怖いイメージがあるのですが、本作ではもっとキャッチーな曲に仕上がっているように感じました
7曲目:素晴らしき世界
『ERA』における「素晴らしき世界」はもっと宇宙的で神秘的な曲なのですが、本作では中村くんの唄を聴かせるような編曲に変わっています
これもライブの中盤にさしかかる時に歌われれるような、汗で濡れたTシャツが冷めて唄が染み込みやすいタイミングで響いてくるような曲になっていて
あぁ『最高築』は中村一義のライブ盤なんじゃないかと思ってきました
8曲目:キャノンボール
中村くんが得た最高のバンド100sが最高の反応を起こし、ライブでは1番盛り上がる「キャノンボール」
イントロはまるでライブ会場にいるようなミキシングがされており、グッと引き込まれます
ところがAメロに入った途端一変、まさかの二声
バンドの音ではなく中村一義の曲に変わりました
あぁ、もうトムさんも小野ちゃんもヒロくんもいないんだと思い知らされ空虚が襲ってきました
振り返れば私は100s時代の中村くんが1番好きだったんだなと実感して、マッチーのギターソロも、横で缶ビールを呑んでいる小野ちゃんがいないんだ、もう100sじゃないんだという、今の中村一義のキャノンボールなんだという、これもまた『最高築』でした
9曲目:いつだってそうさ
『ERA』で初めて聴いた時はそんなに響かなかったんですけど、年々「いつだってそうさ」が染みてくるようになりました
歳を重ねるっていうことなのかな
マッチーのギターは前よりももっと染み込んできました
10曲目:Honeycom.ware
まさかのアコースティック
アレンジの変わりようでいうと本作では最大なのがこの「Honeycom.ware」
おかしなもので違和感がまるでないんですよね
私の親友が一番好きな曲が「Honeycom.ware」らしいのですが
本作を聴いてさぞ驚いていると思います
11曲目:ワンリルキス
この曲は中村一義初の他のアーティストへの楽曲提供ということで、これまたセルフカバーですね
ちょっと『最高築』の雰囲気とは違うかなというような編曲なのですが、初収録曲もいれておかないとうるさい人もいるのでしょう
ビクターズの後に入れたほうが良かったんじゃないかなとちょっと思いました
12曲目:ビクターズ
何故か『ALL!!』と『世界のフラワーロード』と『対音楽』がすっとばされて『海賊盤』から「ビクターズ」です
海賊盤の「ビクターズ」は雨音のようなピアノやストリングスが印象的なのですが、この曲も『最高築』サウンドに変わっています
ここまで来るとこのアルバムの方向性が身体に染み込んできているので『最高築』されたビクターズはかくあるべきとうなずけます
13曲目:世界は変わる
最終曲の「世界は変わる」はボーナストラック扱いとなり、配信限定で先行していたものと一緒です
100sの終わりと新しい中村一義の『最高築』
中村一義のアルバムは1stの『金字塔』から最新の『海賊盤』に至るまで、「1曲目からラストまでノンストップで聴ける」という特徴があって
1枚のアルバムが繋がって1つの作品になっている感が非常に強く、これまでのベスト盤ではやはり寄せ集めの感が否めないし、おまけの未収録音源のためのファンアイテムのような存在でした
この『最高築』は1つのライブを観に行ったかのように統一されたアレンジへと変わっていて、最初から最後まで走り抜けられる1枚です
中村ファンは1曲1曲にそれぞれ思い入れがたくさんあるだろうし、原曲のアレンジの方が良いっていうのも当然あるでしょう
『最高築』はバンドサウンドで再編された中村一義のベストアルバムです
変わるもの変わらないものがあって、
あの「状況が裂いた部屋」で宅録していた頃とも違うし、100sの時とも違う
新しい仲間と一緒に、新しい2017年の状況が裂いた部屋で作られた新しい中村一義のアルバム
『最高築』は全ての中村一義ファンが手元に置いておくべき2017年の中村一義のあるバムでした
我が家の佐内&中村棚に格納される最高築とガジュマル
サイン入りポスター当たった!